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デンカシンガポール生産開始40周年を祝う

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グローバルに事業を展開する総合化学メーカーであるデンカが2024年、シンガポールでのアセチレンブラック生産開始から40周年を迎えた。この節目に、これまでの躍進を振り返るとともに、サステナビリティに配慮した新たな生産および開発計画など、とどまることのない同社の革新のビジョンについて伝える。

高度な産業インフラや優秀な人材の力で事業が飛躍 

デンカシンガポールは2024年、​​リチウムイオン電池などに使うアセチレンブラックを1984 年に​​シンガポールで初めて生産してから、40 周年を迎えた。デンカは、日本の化学メーカーの中でいち早くシンガポールに生産拠点を設立した企業の一つだ。高度な物流システム、世界最先端のITインフラ、そして豊富で優秀な人材を持つシンガポールは、デンカにとって日本国外における重要な戦略拠点であり続けている。 

デンカシンガポールは、需要の低迷や生産能力の急増といった試練の多い時期を乗り越え、一貫して社会に貢献してきた企業だ。また、ジュロン島にある​2​つの石油化学工場を1980年から統括し、過去40年間にわたり事業を飛躍的に成長させてきた。電子材料や先進的なポリマーソリューションなどの需要が高まるなか、デンカグループにとってシンガポールは引き続き重要な拠点であり、工場の拡張計画も進行中だ。 
 

デンカシンガポールが実現するサステナブルな未来 

2024年7月16日、シンガポールでのアセチレンブラック生産開始40周年を記念し、デンカケミカルズホールディングスアジアパシフィッ​​ク、​​デンカシンガポール、デンカアドバンテック​のマネージングダイレクターを務める川村禎生(かわむらみちお)氏が、グループの将来についてのビジョンや、デンカの2030年に向けた目標がシンガポール社会にどのように貢献するかについて語った。  

セラヤ工場

—「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」をパーパスに掲げ、2030年までにスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた事業の創造に集中するというデンカのミッションを支えるために、デンカシンガポールはどのような戦略を持っていますか。 

シンガポールは日本とは状況が異なるので、目標も違います。日本本社は新しい経営計画「Mission 2030」を策定し、これが世界でよりサステナブルなビジネスを構築するための経営指針となります。一方、シンガポール版の「Singapore Mission 2030(SG-M30)」は、世界共通の「Mission 2030」を補完するものです。 

SG-M30における大きな推進力の一つは、人的資源による価値創造です。デンカシンガポールは、全従業員の可能性を伸ばすことに力を注いでいます。Total Company Learning Plan​(​TCLP、全社学習計画​)​を通じて、SG-M30の目標達成に必要なスキルを向上させるため、足りないトレーニングを見つけ出し、対策を講じているのです。デンカシンガポールは“グローカル(世界的に事業を展開しながら、地域に根差した事業活動をする)”な組織を目指しており、シンガポールの従業員それぞれに自らの役割を担ってもらいたいと考えています。  
 

—デンカシンガポールはどのようにサステナビリティを向上させていく計画を立てていますか。 

私たちは、2030年までにCO₂排出量を50%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するというシンガポール政府の持続可能性目標に賛同しています。私たちは将来を見据え、具体的なステップを踏んで、この目標を実現する計画を持っています。例えばシンガポールでは、CO₂排出量を削減するための太陽光パネルの設置方法を検討しています。最終的には全工場に導入し、廃棄物ゼロなどの取り組みも強化していく予定です。 
 

—デンカシンガポールの生産に関する見通しはどうなっていますか。アセチレンブラックの生産量は増加していますか。また、新たな生産ラインの増設は考えていますか。 

サステナビリティの大きな潮流に沿い、デンカシンガポールでは、サステナブルな用途に適したさまざまな製品の生産能力の拡大に注力していきます。すでに、放熱材料に使用される球状シリカの生産能力を2024年に拡大し、増大する市場需要に対応しています。 

また今後、自動車軽量化のため金属に代わって構造に使用されるスチレン系樹脂、EVバッテリーや風力発電に使用されるアセチレンブラック、車載充電器やEVバッテリーに使用される球状アルミナなどについても、需要の増加が見込まれます。デンカシンガポールは、よりサステナブルな日常必需品への世界的な移行を支援し、その重要な原材料の安定供給を確保することに取り組んでいます。  
 

—デンカシンガポールの生産工場では、他にどのような計画が進められていますか。

シンガポールの先進的な研究開発インフラを活用し、デンカシンガポールは地域の研究開発のハブとして機能していきます。既存製品の改良や新製品のイノベーション、関連技術の可能性を探っています。 

 プラスチックは環境にとって必ずしも理想的な素材ではありませんが、日常生活に欠かせない素材であることに変わりはありません。デンカは環境に対する義務を果たすため、サステナブルなポリマーソリューションの革新に専念することで、この課題を解決することに尽力します。 

また、デンカシンガポールと日本本社間の円滑な運営を確保するため、工場に効果的なデジタル・ナレッジ・マネジメントシステムを導入することにも重点を置いています。シンガポールは新たなAI技術の実験場として、日本のモデルとなっていく予定です。 

さらに、長期的な目標は、工場の複雑なオペレーションをサポートするための「ファクトリー・アバター」を開発することです。これは、従業員の退職や転勤によって既存の知識が失われる前に知識を共有することで教育、問題解決、工場の効率的な管理を支援するリソースです。デンカシンガポールは、この独自技術を洗練させた後、他のデンカの施設に展開することを楽しみにしています。  

—デンカシンガポールはシンガポール社会にどのように貢献していますか。 

デンカシンガポールの黎明期から、日本本社、地域の行政機関、外部のステークホルダーと連携し、“To imagine the possibility of chemistry in shaping greater essentials for a better future.​(​より良い未来のために、化学の可能性を想像し、重要な要素を形づくる​)​”というミッションを達成することを目標としてきました。 

デンカシンガポールの40年にわたる生産活動を記念して、デンカシンガポールがこの地域にもたらしてきた数々の画期的なソリューションの成果をあらためて評価します。4つの工場、7つの製品、300人のスタッフ、3億5,000万米ドル(約504億円)の売上高を誇るデンカシンガポールはいまや、グループで最も生産的な組織の一つとなっています。 

そしてその社会への貢献は、価値の高い雇用の創出、貴重な原材料であるアセチレンブラックの安定供給、サステナブルなポリマーソリューションなどの特殊化学品の継続的な開発など、多岐にわたります。デンカシンガポールは、今後もこの道を歩み続けます。当社の現在の目標は「SG-M30」の達成であり、すなわち、シンガポールおよびそれ以外の地域のサステナブルな未来の実現に寄与することです。 

デンカケミカルズホールディングス
アジアパシフィック
デンカシンガポール
デンカアドバンテック
マネージングダイレクター
川村禎生氏

*本稿は、“Celebrating 40 years of Denka Singapore Pte Ltd(デンカケミカルズホールディングスアジアパシフィック)”を翻訳・再構成したものです。 

*1米ドル= 約144円(2024年9月20日時点) 

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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