AI・IoTで「人を中心としたオートメーション」をさらに進化
現在、アズビルがオートメーション事業において、大きく力を入れている分野がAIとIoTに関する開発だ。アズビルは従来からオートメーション専業メーカーとして、AIやIoTなどのデジタルテクノロジーを積極的に適用してきた経緯がある。その取り組みについて山本氏は以下のように語っている。「特に最近注力しているのが、AIを応用した設備機器運転の最適制御アプリケーションや、IoTを応用したファクトリーオートメーション用機器のネットワーク対応推進です。」このAIとIoT化を行うことで、ネットワークを経由してさまざまなデータが収集されazbilグループならではのソリューションを展開することができるという。「例えば、アズビルのお客様である商業ビルや、工場、ガス供給ライフラインなどでは生産性の向上が継続的に求められています。生産性を高めるためには、施設・空間の質を向上させると同時に使用するエネルギーの量を削減することが求められます。これまでは個別の状況に応じて、現地で人の判断によって各種設備の運転が行われていましたが、AIとIoTの適用によってさまざまな条件を考慮した最適な設備の運転が可能となります。」(山本氏)その結果、オフィスで働く方には快適な空間を、工場ラインにおいては計画に応じた適切な生産活動を、最小限のエネルギーで提供することが可能となる。さらにAIとIoTによってネットワーク化されたシステムにより、刻々と変化する状況に対応し、継続して最適な状態を提供することができる。「今までの製品・サービスにAI、IoTを活用することで、お客様に対して“次世代の生産性”を提供することが可能になるのです。」これこそazbilグループの企業理念である「人を中心としたオートメーション」をさらに進化させていく取組みだ。
シンガポールで東南アジアのビジネスを統括する
アズビルの次世代の生産性を実現する新たなオートメーション事業は、シンガポールを基点に東南アジア市場に展開していく計画だ。そのために2018年4月1日から「東南アジア戦略企画推進室」を開設している。「現在azbilグループは、東南アジアにおいては、シンガポール以外にインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムに現地法人を設けていますが、グループ全体の事業拡大のための活動を『東南アジア戦略企画推進室』が担っています。」と山本氏は語っている。また、その機能について、「これまで、現地法人ごとに行ってきた活動を横断的に取りまとめることで、AIやIoTを活用した最新技術に基づく提案を周辺諸国のお客様にタイムリーに展開することができます。また販売やマーケティングもスピーディに展開ができ、フィードバックもより素早く得ることができます。」と山本氏は語る。より高付加価値の製品やサービスを素早く提供することで、顧客ニーズに応え、更なるビジネスの拡大を目指している。加えて山本氏は、『東南アジア戦略企画推進室』をシンガポールに設ける理由を次のようにも語っている。「シンガポールは東南アジア諸国の中で最先端な技術力を持っており、それを推進する先進的な経済や行政システムも備えています。」
発展するASEAN 市場に高いレベルの安心・快適・高効率を提供していく
今後ASEAN 諸国は更に発展していくことが見込まれる。経済成長率は日本に比べても高く大きな成長が期待される。しかしその一方で「執務空間・工場生産ラインなどにおける“安心と快適”への要求レベルは一段と高くなる」と山本氏は語る。また環境意識への世界的な高まりから、「エネルギー使用の制約強化や、より効率的な利用方法などがもとめられる」という。そのような状況の中、azbil グループがこれまで培ってきた製品・サービスが東南アジア諸国の顧客に貢献できる範囲がさらに広がってくると判断しているとのことだ。また、シンガポールや東南アジアにおいてビジネスを促進する上で、シンガポール経済開発庁(EDB)は、重要な役割を果たしていると山本氏は考えている。「今後は更にビジネスの成長につながる貴重なパートナーとの関係構築や最先端の技術開発プログラムなどの参画など、より一層関係を強くしていきたいと考えています。」とこれからの展望について語ってくれた。