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シェル

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オランダの石油大手シェルは、自社のガソリンスタンドでシンガポール初の電気自動車の充電スポットを提供する。同社は既に、EV充電スポットの提供をイギリス、オランダ、中国で実施してきたが、これに続きセンカン・イースト・ロード61番地のセンカンガソリンスダンドに、直流(DC)50 kWの高速充電設備を設置した。


シェル リテール部門のゼネラル・マネージャーのアルティ・ナガラジャン氏(シェル リテール部門のゼネラル・マネージャー)、シンガポール経済開発庁マネージングディレクターのチャン・カイフォン氏)、シェルシンガポール会長のオー・カーペン氏Ms Aw Kah Pengは、シェル・リチャージと呼ばれる高速充電設備を2019年8月19日にセンカン・イースト・ロード61番地のセンカンガソリンスダンドで発表した。写真提供:聯合早報

国内9ヶ所の他のスタンドにも、10月までに、シェル・リチャージと呼ばれるこの新設備を設置する。同社は、シンガポール国内に57ヶ所のガソリンスタンドを展開している。

しかし、他国の市場とは異なり、シンガポール国内の電気自動車は極めて少ない状況にある。

陸上交通庁(LTA)によると、シンガポール国内の電気自動車は、自動車総数の0.1%で、その数はおよそ1100台に過ぎない。

シェル・リチャージは、1kWh当たり0.55USD(約42円)で充電可能で、国内の他の高速充電設備よりもやや高い。同社は、「これは、利便性とモビリティソリューションに対するシンガポール人の需要の変化に対応するための戦略の一部である」と述べている。

その一環として、ガソリンスタンドのネットワークを刷新し、自社ブランド食品デリ・バイ・シェルをスタンドのショップにストックすることも含まれている。

このネットワークの60%近くがアップグレードされ、残りも2020年末までに完了する予定だ。

電気自動車をおよそ30分で充電できる50kWのDC充電設備の戦略は、シェルが委託した研究調査に基づいている。

2019年7月に実施された18歳以上の1,000人を対象とするオンライン投票では、同社は、回答者の4分の1が、今後24ヶ月以内に電気自動車の購入に前向きではあるが、その半数が、高層ビルに住み、充電ステーションへのアクセスが困難なことを理由に、電気自動車を所有することが不可能であると感じていることを明らかにした。

同社のリテール部門のゼネラル・マネージャー、アルティ・ナガラジャン(Aarti Nagarajan)氏は、「われわれの見識では、シンガポール人は、電気自動車を充電するための、十分な数と高速充電の選択肢がないことに不安を抱いている。そこで、シェル・リチャージを開始し、お客様に便利で戦略的な場所での高速充電設備の提供に乗り出す第一歩を踏むことになった」と語る。

シンガポールの公共の電気自動車の充電スポットの多く(住宅街の駐車場にある充電スポットを含む)は、充電に時間がかかる設備であり、空のバッテリーに充電するには、数時間かかる。

DC高速充電設備は、わずかな時間で充電可能だが、充電スポットのネットワークの僅かに過ぎず、風雨を避けられる場所はほとんどなく、近くに飲食できる場所も少ない。

同氏は、さらに、「シェル・リチャージがあれば、お客様はエアコンの効いた店内で、コーヒーを飲み、出来立てのパンやお菓子、すぐに食べられる美味しい食事や、軽食を楽しみながら、簡単に電気自動車を充電することができる」と付け加えた。

シェル・リチャージ・ポイントは、島内全土50ヶ所に100以上の公共・私用のチャージングステーション網を有するシェル所有のグリーンロットによって設置される。

シンガポールの電力会社シンガポール・パワーは、 2020年までに、1,000ヶ所、うち250ヶ所は、DC高速充電設備を有する電気自動車用充電スポットの設置を目指している。すでに、19機のDC高速充電設備が稼働している。

また、電気自動車のシェア事業を行うBlueSG社の99ヶ所の充電スポットも一般に提供されているが、こちらは、充電時間がかかる。

出典:ザ・ストレーツ・タイムズ

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