医薬品大手や公的研究機関が集うバイオポリス
さらに、嶋田氏は「シンガポールのサイエンスエコシステムではダイバーシティが実現していて、優秀な人材が集まっています。そうした環境も弊社の研究を支えてきました」と話す。
CPRのサイエンスエコシステムの活用に関して、同社の施設は、大手医薬品会社や公的研究機関が多数入居するバイオメディカル分野の国際的な研究開発地区「バイオポリス」に設けられており、嶋田氏は「バイオポリスでは、研究で連携している人たちとすぐに話ができます。新しいリレーションシップも作りやすい環境です」と説明する。
また、「国内最大の研究開発機関のシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)とも共同研究をしていますが、A*STARの施設は我々のビルの隣にあるので、アクセスしやすく便利です」(嶋田氏)と言うように、CPRはA*STARの研究機関である「シンガポール免疫学ネットワーク(SIgN)」と協働し、シンガポールアカデミアが持つ専門知識と中外の抗体エンジニアリング技術の掛け合わせを生かし、すでに複数の共同研究プロジェクトの実績を有している。
優秀な人材によるダイバーシティが実現
人材の活用について嶋田氏は、「創薬研究では、ダイバーシティとそれを含むカルチャーがイノベーションを起こすための重要な要素になりますが、弊社の研究施設は、人種、バックグラウンドを含めて、非常にダイバーシティに富んでいます」と語る。
実際、同社の研究者と研究アシスタントは、製薬企業、大学などのアカデミア、政府機関の3つのバックグラウンドからだいたい同じ割合で採用され、世界大学ランキング並びにアジア大学ランキングでも上位のシンガポール国立大学と南洋工科大学の出身者が多い。国籍はシンガポールが60%弱、中外の出向者など日本が約20%で、東南アジア諸国のスタッフも多数在籍している。
「シンガポールには多様性に富んだ優秀な人材が集まっており、ユニークで高いサイエンスレベルを有したA*STARなど公的研究機関に、ベンチャー企業なども加わったサイエンスエコシステムが構築されています。さらに、政府のサポートもしっかりしていて、この環境での創薬を体験すると、シンガポールが研究開発のハブとして高いポテンシャルを持っていることを実感します。日本と時差が1時間で、文化的にも近く、海外拠点として非常に魅力のある国です。」
嶋田氏はそう言うと、シンガポールでの研究開発にかける思いを語った。
「我々としても、シンガポールのアカデミアとの共同研究において、製薬企業ならではの新しい視点を提供したり、人材の輩出や人的なネットワークの構築に尽力したりすることで、シンガポールのサイエンスエコシステム、そして世界の医療にもっと貢献していかなければと思っています。ぜひみなさんも一緒にシンガポールで創薬研究をしましょう。」