シンガポール初! グローバル承認申請目前の新薬開発
中外ファーマボディ・リサーチ(CPR)は、日本の大手医薬品メーカーの中外製薬が100%出資してシンガポールに設立した、世界有数の抗体医薬品の研究能力を持つ創薬研究企業である。 「中外製薬は、特定の分子の目印(抗原)に結合してその抗原を体内から除去する抗体など、抗体エンジニアリング技術に強みを持ちます。そしてCPRは、その抗体エンジニアリング技術の価値を最大化するための研究を行う目的で、リサーチハブとして適するシンガポールに設立されました。」
嶋田氏がそう説明する同社の設立は2012年。中外製薬独自の抗体エンジニアリング技術を駆使した医薬品開発は順調で、現在中外製薬として9個の開発品が進行中。そのうち「SKY59(crovalimab)」は、有効性や安全性を検証する臨床試験で最終段階のフェーズ3まで進み、2023年には新薬承認申請を行う予定。 SKY59の創製にCPRが果たした役割は非常に大きく、シンガポール発の初めてのグローバル承認薬となることが期待されている。
そうした成果について、嶋田氏は「非常に価値の高い研究ができている」と言い、設立時は60人ほどだったスタッフも現在では140人ほどまで増えたという。「設立当初は、シンガポール経済開発庁(EDB)から人件費のサポートや人材獲得へのアドバイスをいただきました。その後現在まで、機器購入を含む設備投資に関してサポートを受けるなど、EDBの協力を適切な時期に得て、順調に事業を拡大してきました」と振り返る。