シンガポールにサプライチェーン拠点を設けるグローバル企業
すでに、多数の企業がシンガポールをサプライチェーンの拠点として事業を行っている。日本企業では、飲料大手のポッカが、シンガポールにPOKKA Pte LTD.を構え、日本を除く全ての市場に対して製造、販売、流通を行なっている。この拠点では、バリューチェーン全体の自動化や透明性、効率性の向上のために、WMS(倉庫管理システム)やTMS (配送管理システム)などのテクノロジーシステムも導入している。また、同社は隣接するマレーシアの自由工業地帯に工場を持っており、そこで原材料を調達することでコスト効率を高め、利益率を大幅に改善しているという。近隣諸国とのアクセスが非常に良いシンガポールの優位的な立地を上手く利用し、調達の面でも恩恵を最大化しているのだ。他にも、化粧品大手の資生堂はシンガポールにサプライチェーンマネジメントにおけるデジタルコントロールタワー機能を備えたリージョナルHQを設置している。他にも、サントリー、キヤノン、パナソニックなど、大手企業によるサプライチェーンマネジメントの拠点が、ここシンガポールにある。
また、海外企業では、P&Gのプロダクト・サプライ・ハブは、ここシンガポールを拠点に、アジア太平洋、中東、アフリカ全域の需要と供給のプランを最適化し、リスク管理を行っている。これにより、実に19ものエンド・マーケットにおいて7,500以上の個別製品が店頭に並ぶこととなる。また、総合物流企業であるマースクは、シンガポールに2つ目の物流施設の設立に向けて着工した。新たなオムニチャネル対応施設であるこのセンターは、シンガポールをサプライチェーン・ネットワークの主要な物流ハブとして位置づけ、ヘルスケア、ライフスタイル、フットウェア、アパレル、消耗品といった価値の高い市場にサービスを提供するという。
こうした例のように、グローバル企業は時代に合わせたサプライチェーンの再構築に向けて試行錯誤を行っている。特に成長著しい東南アジアにおいて、シンガポールはその立地的な優位性や地政学的な安定性、グローバルに広がる流通網やビジネスにおけるエコシステムなど、拠点として選択するのに有利な条件が整っている。だからこそ、世界中の企業がシンガポールへの進出に注目しているのだ。
「ガートナー APACサプライチェーン・ネットワーク動向調査 2023」調査結果における分析
世界的な調査・アドバイザリー会社であるガートナー社は、EDBと共同で「ガートナー APACサプライチェーン・ネットワーク動向調査 2023」を実施した。この調査は、製造フットプリント、サプライチェーン機能など、サプライチェーン組織にとって重要な最新のテーマに焦点を当てたものだ。
調査の詳細はこちら PDFダウンロード(英語)