国境を越えた繁栄の実現
本合意は、シンガポールのローレンス・ウォン首相とマレーシアのアンワル・イブラヒム首相の立ち会いのもと締結され、両国が持つ相互補完的な強みを最大限に活用することへの強い意志を示している。シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相と、マレーシアのラフィジ・ラムリ経済相が署名し、JS-SEZを世界的な投資先として確立することを目指す。
当初5年間で50のプロジェクトを支援
JS-SEZの核となるのは、競争力が高く、投資家にとって魅力的な環境の構築である。シンガポールとマレーシアは、合意後の最初の当初5年で50のプロジェクトを支援し、10年以内に累計100プロジェクトの実現を目指している。シンガポールにおいては、これらのプロジェクトの多くが経済開発庁(EDB)やEnterprise Singapore(ESG)を通じてジョホールに紹介される。
この取り組みについて、ウォン首相は「このプロジェクトは、シンガポールとジョホール州の相互補完的な強みを活かし、両国がより競争力や付加価値を向上させることによって、さらなる投資を誘致するための重要なものである」と述べた。
企業が期待寄せる取り組みの数々
① パスポート不要のQRコード入国審査
2024年3月、シンガポールとマレーシアは陸路の国境検問所にパスポート不要のQRコードを活用した入国審査システムを導入した。このシステムにより、混雑が大幅に緩和され、通勤者や企業関係者の移動がよりスムーズになった。
② ワンストップ・ファシリテーション・センター
マレーシアは、JS-SEZへの投資や事業拡大を希望する企業向けに「マレーシア投資促進センタージョホール支所(IMFC-J)」を設立する。IMFC-Jは、行政手続きを簡素化し、特にシンガポール企業に関連するプロジェクトを優先的に支援する役割を果たす。
③ 技術・職業教育の強化
シンガポールの高等教育機関(IHL)とマレーシアの「ジョホール人材開発協議会(JTDC)」が連携し、JS-SEZ内の産業ニーズに沿った人材育成を推進する。
主な取り組みには、シンガポール・ポリテクニックとマレーシア製造業者連盟(FMM)による覚書(MOU)の締結、シンガポールITE教育サービス(ITEES)とジョホール技能開発センター(JSDC)の協力協定、さらに、リパブリック・ポリテクニックとJTDCの人材開発に関する覚書の締結が含まれる。
④ 通関手続きの効率化
2025年1月1日より、陸上複合一貫輸送のための貿易業者の通関手続きが一本化される。これにより、従来必要だった両国での別々の許可申請が不要となり、企業の時間とコストの削減につながる。