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ジョホール・シンガポール経済特区協定、注目すべきポイントとは?

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2025年1月7日、シンガポールとマレーシアは、プトラジャヤで開催された第11回マレーシア・シンガポール首脳会談において「ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)」の設立に関する合意を正式に締結した。この経済特区の設立により、投資の促進、雇用創出、事業拡大の機会が広がり、シンガポールとジョホール州の双方に大きな利益をもたらすことが期待される。

2025/02/21

国境を越えた繁栄の実現

本合意は、シンガポールのローレンス・ウォン首相とマレーシアのアンワル・イブラヒム首相の立ち会いのもと締結され、両国が持つ相互補完的な強みを最大限に活用することへの強い意志を示している。シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相と、マレーシアのラフィジ・ラムリ経済相が署名し、JS-SEZを世界的な投資先として確立することを目指す。
 

当初5年間で50のプロジェクトを支援

JS-SEZの核となるのは、競争力が高く、投資家にとって魅力的な環境の構築である。シンガポールとマレーシアは、合意後の最初の当初5年で50のプロジェクトを支援し、10年以内に累計100プロジェクトの実現を目指している。シンガポールにおいては、これらのプロジェクトの多くが経済開発庁(EDB)やEnterprise Singapore(ESG)を通じてジョホールに紹介される。

この取り組みについて、ウォン首相は「このプロジェクトは、シンガポールとジョホール州の相互補完的な強みを活かし、両国がより競争力や付加価値を向上させることによって、さらなる投資を誘致するための重要なものである」と述べた。
 

企業が期待寄せる取り組みの数々
 

① パスポート不要のQRコード入国審査

2024年3月、シンガポールとマレーシアは陸路の国境検問所にパスポート不要のQRコードを活用した入国審査システムを導入した。このシステムにより、混雑が大幅に緩和され、通勤者や企業関係者の移動がよりスムーズになった。

② ワンストップ・ファシリテーション・センター

マレーシアは、JS-SEZへの投資や事業拡大を希望する企業向けに「マレーシア投資促進センタージョホール支所(IMFC-J)」を設立する。IMFC-Jは、行政手続きを簡素化し、特にシンガポール企業に関連するプロジェクトを優先的に支援する役割を果たす。

③ 技術・職業教育の強化

シンガポールの高等教育機関(IHL)とマレーシアの「ジョホール人材開発協議会(JTDC)」が連携し、JS-SEZ内の産業ニーズに沿った人材育成を推進する。
主な取り組みには、シンガポール・ポリテクニックとマレーシア製造業者連盟(FMM)による覚書(MOU)の締結、シンガポールITE教育サービス(ITEES)とジョホール技能開発センター(JSDC)の協力協定、さらに、リパブリック・ポリテクニックとJTDCの人材開発に関する覚書の締結が含まれる。

④ 通関手続きの効率化

2025年1月1日より、陸上複合一貫輸送のための貿易業者の通関手続きが一本化される。これにより、従来必要だった両国での別々の許可申請が不要となり、企業の時間とコストの削減につながる。

強固な二国間関係の上に築かれるJS-SEZ

JS-SEZは、製造業、物流、食料安全保障、観光、エネルギー、デジタル経済、グリーン経済、金融サービス、ビジネスサービス、教育、医療の11の重点分野への投資促進を目的としている。これにより、シンガポールとマレーシアの経済関係をさらに強化することが期待される。両国の経済協力はすでに高い水準にあり、2023年の二国間貿易額は1,236億シンガポールドル(約14兆円)に達した。シンガポールはマレーシアにとって第2位の貿易相手国であり、また最大の海外直接投資(FDI)国でもある。2023年のFDI総額は、同国のFDI総額の23.2%にあたる437億マレーシアリンギット(約1兆4,858億円)が拠出された。また、ジョホール州は特にシンガポール企業にとって魅力的な投資先となっており、2023年には310億RM(約1兆540億円)のFDIを記録した。
 

持続可能な成長の推進

JS-SEZは、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みを推進し、再生可能エネルギーや環境負荷の低減にも重点を置く。その一環として、シンガポールとマレーシアは「二国間二酸化炭素回収・貯留(CCS)」プロジェクトを進めている。このプロジェクトでは、エネルギー、化学、廃棄物管理といった脱炭素が困難な産業分野で発生するCO₂を回収し、輸送・貯蔵することで排出を削減する。また、両国の専門機関が連携し、知見の共有や共同研究を実施する予定であり、持続可能な経済発展の実現に向けて協力を深めていく。
 

未来へのビジョン

JS-SEZは、今後20,000人の雇用を創出し、シンガポールとマレーシアの企業にとって新たなビジネスチャンスを生み出すと見込まれている。本プロジェクトは、地域経済のさらなる発展に向けた重要な一歩だ。雇用創出、人材育成、投資誘致といった共通の目標のもと、シンガポールとマレーシアは緊密な協力関係を築き、持続可能で包摂的な経済成長の道筋を示していく。
ウォン首相は「JS-SEZの成功は、企業の参画と活用の度合いにかかっている」と述べ、両国政府が継続的な進展を確保する意向を強調した。

 

*1SGD=113円、1RM=34円 (2005年2月時点)

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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