製造技術の次世代化を進める3つの環境要因
既にに多くの企業がシンガポールを拠点に技術の開発導入に動き出しています。
第一に次世代製造技術の導入をサポートする企業が多数登場しています。ABBロボディクスは、パッケージング用ロボットの研究開発(R&D)施設「ロボット工学パッケージング・アプリケーション・ハブ」をシンガポールに開設しました。また、アクセンチュアは、「IoTセンター」を開設し、シンガポールの製造業がデジタル化を行うサポートに乗り出しています。更に、シーメンスは「デジタライゼーション・ハブ」を開設し、各企業のデジタル技術開発を共に行うことを発表しています。これらの企業は、次世代製造技術の導入を目指す企業に対して、ソリューションと技術的な専門知識を提供してくれます。
第二に、優れたスタートアップ企業や中小企業とのパートナーシップが登場しています。例えば、ドイツの半導体大手インフィニオン・テクノロジーは、無人搬送車の開発で、シンガポールのテクノロジー企業Hope Technikとパートナーシップを結びました。
第三に、シンガポールでは、次世代化を進めるために国立の技術研究に積極的に取り組んでいます。シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は、次世代製造技術の採用を加速するために、2つのモデル工場を立ち上げました。また、精密エンジニアリング企業ファインメタルは、A*STARの製造技術を活用して、生産性を約10〜15%向上させることが期待されます。
続々と次世代製造技術への投資に乗り出す
こうした優れた環境によって、多くの企業がシンガポールで次世代製造技術の投資に乗り出しています。例えば、工作機械メーカーのYamazaki Mazakは、IoTでコントロールされた自動化工場iSmart Factory™と、ASEAN地域とインド向けのカスタマイズサービスを行う積層造形ソリューションセンターを開設しました。また、化学分析機器や電気・電子計測機器のアジレント・テクノロジーは今後5年間で8500万シンガポール・ドル(約71億円)を投資し、次世代製造技術と応用研究開発能力の向上を行います。更にモーターなどのモーションコントロール製品を手掛ける地場企業PBA システムは、次世代製造技術の導入によってユニット単位の生産コストを中国工場よりも引き下げることに成功しました。
次世代製造技術の最大の効果は“変化に対応する力”
次世代製造技術の導入は、技術の採用による一時的な改善ではなく、継続的な“カイゼンの旅”をもたらします。業界や顧客ニーズの変化に製造プロセスを合わせ、最適化してくれる能力を構築してくれるのです。 しかしこの進化の旅は、まだほんの始まりに過ぎません。真の次世代化のためには、もっと多くの作業が必要です。シンガポールでは、今後も製造業の皆さまが次世代化を行い、更なる成長できるサポートを行ってまいります。