イノベーションと人材の拠点
240年以上の歴史を持つ世界的バイオ医薬品企業タケダのCEOクリストフ・ウェバー(Christophe Weber)氏。同社は、アジア太平洋地域統括拠点および臨床開発拠点を2008年にシンガポールに設立しています。
シンガポールはすでに、グローバルな舞台で有能な人材を呼び込み、育成、支援、定着させる上で最先端を走っています。インシアードとPortulans Instituteによる「2022年グローバル人材競争力指数報告書(2022 Global Talent Competitiveness Index Report)」において、シンガポールはクラス最高の人材マネジメントで2位を獲得し、アジア太平洋地域で唯一トップ10にランクインしました。
グローバルな競争力を維持するには、国際的なビジネスの需要に対応できるよう、人材のスキルアップを考えることが引き続き重要となってきます。
移ろいゆく世界の課題に応えるには、長期戦略に焦点を合わせ、各人材が最高の潜在力を発揮できるように、キャリア向上の機会、柔軟な職場環境、生涯学習の文化創出などを検討し、確実に人材を呼び込み、定着させることが不可欠です。
世界で最も研究開発(R&D)集約的な産業として、バイオ医薬品業界は過去10年間に世界全体で約1兆7000億米ドル(約217兆3552億円)をR&Dに投資してきました。今後5年間で、世界全体でさらに1兆2000億米ドル(約153兆3948億円)の投資が見込まれています。バイオ医薬品業界は、高賃金、R&D、製造に関わる雇用を通じて経済成長を促進しています。また、革新的な医薬品は、生産性の高い労働力の維持に役立ち、超高齢化社会の課題のいくつかに対処することもできます。
革新的な治療法を最終的に患者さんに届け、未来の医療課題を解決する上で、科学の継続的な発展は絶対に欠かせません。まず取り組むべきは、イノベーションを刺激してその成果が報われるようにすること、そして科学的な発見のペースに見合ったインセンティブを保証することで、バイオ医薬品のイノベーションエコシステムを強化することです。
「世界の分断が進んでも、開かれた経済、地政学的な中立性、そして地理的にも恵まれているシンガポールは、これからも製薬業界にとって重要かつ魅力的な海外直接投資先となるでしょう」
クリストフ・ウェバー(Christophe Weber)氏
CEO
タケダ
東南アジアのデジタル資本に
グローバルな金融インフラプラットフォームStripeのプレジデント兼共同創業者、ジョン・コリソン(John Collison)氏。決済の受け付け、収益成長、新しい事業機会の加速を企業に提供している。
世界中の企業が、厳しさを増す経済情勢に直面しています。ですが長期的に見れば、特に東南アジア地域でビジネスを行う企業には楽観できる要素がたくさんあります。アジア開発銀行は、2023年の東南アジアの国内総生産成長率予測を5%に更新しました。この数字は、この地域が最悪の景気後退に耐えられるという一つの指標です。
景気の減速は経済サイクルの一部として当たり前の現象です。痛みを伴うこともありますが、リセットする期間でもあります。野心的な企業は、景気後退が機会を創出すると考えます。シンガポールの進歩的な事業環境は、こうした見解に最も適した条件が整えられています。2030年に世界をリードするテック企業は、おそらく2022年と2023年に誕生するのではないでしょうか。
Stripeと当社のアジア地域ユーザーにとって、シンガポールは依然として重要な地域拠点です。私たちは、長期的な視野に立つことが、次のGrab(シンガポールの配車アプリ運営企業)やCarousell(シンガポールのフリマアプリ運営企業)が生まれ、グローバルに拡大できるような金融インフラの確保につながると考えています。シンガポールは数十年単位の忍耐強い視点を備えていることから、そういったベースとして最適な場所なのです。シンガポールは早くから、成功の鍵となる要素として、グローバルな統合、技術の進歩、配慮をもった発展が重要であることを理解していました。
シンガポールの人材基盤、グローバルな視点、イノベーション能力を考えると、金融インフラの多くがシンガポールや東南アジア地域で広く確立されていくだろうと楽観しています。