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現役大学生モデル世良マリカさんが語る、“スマートな街”シンガポールのリアルな魅力

現役大学生モデル世良マリカさんが語る、“スマートな街”シンガポールのリアルな魅力

シンガポールで進むSDGsの取り組みが、BSテレビ東京の報道番組「日経ニュース プラス9」内のコーナー「SDGs 未来への一歩」で、3週連続で取り上げられ話題となった。そこでこの「BRIDGE Singapore Business News」では、現地取材にあたった現役大学生モデルの世良マリカさんにをインタビュー。前編の今回は、シンガポールの街や食文化、女性が活躍する社会についてなど、取材を通して感じたというシンガポールのリアルな魅力を伝えてくれた。

現役大学生モデル世良マリカさんが語る、“スマートな街”シンガポールのリアルな魅力
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現役大学生モデルの世良さんがシンガポールを取材

「シンガポールを訪れたのは今回が初めてでした。マーライオンなど有名な場所もあってずっと気になっていたのですが、来る機会に恵まれませんでした」

しっかりと落ち着いた口調で語る世良マリカさんは、慶應義塾大学総合政策学部に籍を置く現役大学生。モデルとしても活躍中で、今回のシンガポール渡航は、2022年4月から1年間レギュラー出演していたBSテレ東の報道番組「日経ニュース プラス9」(以降「日経プラス9」)がきっかけだった。SDGsに取り組む企業を取材するコーナー「SDGs 未来への一歩」でシンガポールの特集が今年3月に組まれ、そのコーナーのキャスターを務めていた世良さんは取材のために2月上旬、シンガポールを訪れたのだった。

外国企業を巻き込みながら拡大する人と地球に優しいビジネス

世良さんは今回、日経プラス9の取材のために滞在した4日間のことを、番組で放送されなかった部分も含め語ってくれた。

「まず、シンガポールは街がスマートでした。2020年から21年にかけて集合住宅が完成したプンゴル・ノースショア地区は、冷房の使用を効率化できるよう、地区内の風の通り方や強さ、日射状況などをシミュレーションしたうえで設計されていました。そこに暮らす方たちに話を聞くと、蒸し暑い日でも室内はエアコンなしで涼しく快適だとおっしゃっていました」

世良さんが取材で訪れたプンゴル・ノースショア地区をはじめ、シンガポールではスマートシティの開発が盛んだ。現在は、スマートテクノロジーが活用されたビジネス地区のプンゴル・デジタル地区や、大型スマートシティのテンガータウンのプロジェクトが進行中。いずれも2023年中にオープンする予定となっている。

「プンゴルやテンガーの開発の中心を担うシンガポールの政府機関・住宅開発庁(HDB)のギャラリーも取材で訪れました。最新のニュータウンの模型やパネルを見ながら、シンガポールがこれからつくろうとしている街のことを詳しく教えていただけて、大変おもしろかったです。いまのライフスタイルに合う、住む人のことを大事に考えた街づくりという印象を受けました」

さらに、世良さんが「今回の取材のなかでも、個人的にとても興味深かった」と言うのが、培養肉産業。シンガポールでは食料自給率がおよそ10%と低いことから、政府は2030年までに自給率を30%に引き上げる「30×30」というプランを掲げ、振興に力を入れている。その一連の流れのなか、いま特に注目を集めているのが培養肉産業なのだ。

培養肉とは、動物の細胞を培養して生み出す肉で、土地や水を節約できるなど環境負荷が少ないことが特徴。その培養肉について、シンガポール食品庁は2020年、世界に先駆け、アメリカのフードテックEat Justに対して販売を認可した。

「認可されたというその鶏肉をいただいてみましたが、見た目や食感、味も、いつも食べているお肉とまったく変わらず驚きました。取材に応じてくださったEat Justの培養肉部門の子会社・GOOD Meatのジェフ・ユー(Jeff Yew)さんは30代とお若く、お話は熱心で、事業に対する強い意気込みが感じられました」

そんなGOOD Meatは現在、シンガポールにアジア最大の培養肉工場を建設中。今年の秋にも稼働する予定ということで、期待が高まっている。

Eat Justのような人と地球に優しいビジネスの発展のために、シンガポールではシンガポール経済開発庁(EDB)が中心となり、日本を含む海外から積極的に企業を誘致しているのだ。

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女性が活躍し外国企業に優しい国

世良さんは、取材全体を通して得た感想についても話してくれた。

「シンガポールではとにかく女性の活躍が目立つなと感じました。日本と一番違うなと思ったところです。『日経プラス 9』で2022年の春から1年間、日本でいろいろな企業に取材に行かせてもらいましたが、お話を聞く相手、大事なポジションに就いているのは男性の方が多かったです。それが逆にシンガポールでは、シンガポール金融管理局((MAS))やJTCコーポレーションなど、インタビューに応えてくださった方のうち半分くらいが女性でした」

国際機関の世界経済フォーラム(WEF)が各国の男女格差を評価している「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本が2022年に146カ国中116位だったところ、シンガポールは49位。日本よりも男女格差が小さいことが示されている。

実際シンガポールでは、出身地や背景に関係なく能力を重視するメリトクラシーが貫かれている。女性のリーダーシップについても、例えば、女性の国会議員の割合は2006年に20%を超えている。

世良さんは全体的な印象としてさらに、「シンガポールに進出する外国企業の多くが、政府の支援がしっかりしていると評価していました」とも語った。

シンガポールは人材確保のサポートや用地の提供、研究・開発の支援などを通じて、海外投資の呼び込みに長年力を入れてきた。2023年2月にはEDBのベー・スワンジン(Beh Swan Gin)長官(当時)が、半導体関連のエレクトロニクス産業が牽引し、2022年の固定資産投資額が前年比91%プラスで過去最高となるなど好調とも発表した。

そうした誘致の推進に尽力してきたのがEDBであり、世良さんは同庁のタン・コンフィ(Tan Kong Hwee)副次官へのインタビューについて、「半導体産業は、他の経済にも大きな波及効果を持つと説明してくださいました」と話した。そして、「タンさんは話しやすくとても優しい方でしたが、今回シンガポールで取材させてもらったみなさんが、優しい人ばかりだったことも印象的でした」と4日間にわたった取材のことを振り返った。

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