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シンガポールのエネルギー政策最前線

~世界最大のクリーンエネルギーインフラでオーストラリアからシンガポールに電力を供給~

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シンガポールではいま、世界最大の太陽光発電インフラによりオーストラリアから電力を供給する計画が進められている。その距離は5,000㎞にも及び、予定通り2027年に供給が開始されると、シンガポールの電力需要の最大15%が、世界初の大陸間送電網を通じて365日24時間送電されることになる。約2兆5,000億円以上が投じられるその巨大プロジェクト「オーストラリア-アジア パワーリンク」の全貌と、太陽光発電に注力するシンガポールのエネルギー政策を紹介する。

オーストラリアから自然エネルギーを送電する「AAPowerLink」

オーストラリアに世界最大の太陽光発電所と蓄電設備を設置し、そこからシンガポールまで、約4,200㎞の海底ケーブルを含む約5,000㎞の送電システムで再生可能エネルギーを供給する——そんな壮大なプロジェクトが動き始めている。

そのプロジェクト名は、「オーストラリア-アジア パワーリンク(AAPowerLink)」。300億豪ドル(約2兆5,000億円)以上が投じられ、オーストラリア北部ノーザンテリトリーの町エリオット近くに広さ1万2,000ha、容量およそ20ギガワットピーク(GWp)の太陽光発電所と、エネルギー容量約40 GWhの蓄電池を設置。さらに、そこで発電・蓄電した電力を、海沿いにある都市ダーウィンを経由してシンガポールまで運ぶための送電システムが構築される計画だ。

この一連のプロジェクトには、シンガポールのスタートアップ「サン・ケーブル(Sun Cable)」をリーダーに、建設やリスクマネジメントなど各業界大手5社が参加。現在は、海底調査やソフトウェアの開発などを行っている最中だという。

 

持続可能な未来のために太陽光発電を野心的に拡大

しかし、はるかオーストラリアの太陽光発電所で発電して、シンガポールまで送電する必要性とは何だろうか。

世界各国が温室効果ガスの排出量削減に力を入れるなかで、シンガポールは風力や太陽熱など大気汚染物質を排出しないクリーンエネルギーへの転換に向けていち早く動き出している。2018年に、世界で最も持続可能な都市を選出する「Sustainable Cities Index」でアジア第1位にも選ばれている。

そんなシンガポールが特に注力してきたのが太陽光発電の普及だ。2013年末に15.3 MWpだった太陽電池発電設備容量を、2020年には384.1 MWpまで拡大させた。

そして2021年2月、政府は2030年までに国を挙げて取り組むべき環境政策の包括的なプラン「シンガポール・グリーンプラン2030」を発表。そのなかで、太陽光発電など環境に優しいエネルギー源を確保する方針を示し、2030年までに、太陽電池発電設備容量2 GWp(年間35万世帯への電力供給に相当)以上への拡大を目指すとしている。

シンガポールが行ってきたこれまでの具体的な取り組みには、例えば、シンガポール経済開発庁(EDB)が2014年に開始した「SolarNovaプロジェクト」がある。このプロジェクトでは太陽光発電の普及と拡大に努め、2020年までに公共施設など約6,000の官公庁の屋上に太陽光発電システムが配備された。

また、シンガポールの工業・商業地区の開発を行うJTCコーポレーションは、74万㎡を超える工業用地と、サッカー場103面に相当する屋根に太陽光発電設備を設置する計画を進めている。

そして、今回のAAPowerLinkのプロジェクトだ。シンガポールの面積は東京23区と同程度の約720㎢と土地資源が限られているため、太陽光発電を行う用地の確保などが難しい。そこで世界6位の面積を持ち、太陽光発電の資源が豊富なオーストラリアから、電力を供給するこのプロジェクトが立ち上がったのである。

2027年完成予定でシンガポールの電力需要の15%を供給

オーストラリアとシンガポールとを結ぶこの巨大な太陽光発電インフラは、完成すれば、現存の世界最大の太陽光発電所の実に10倍の規模。シンガポールへの電力の供給は2027年にも開始する見込みで、シンガポールの電力需要の最大15%がまかなわれることになる。

日本貿易振興機構(JETRO)の2021年4月28日付「地域・分析レポート」によると、グレース・フー(Grace FU)環境持続相は「シンガポール・グリーンプラン2030」に関して、「小国でも厳しい障害の中で野心的な行動を実行に移せることを世界に示すことができれば、他の国々に対して新たなソリューションを採用する見本にもなる」と発言している。

AAPowerLinkの実現は、その“野心的な行動”の一つともなり、シンガポール、アジア、そして世界のクリーンエネルギーへの転換の動きを加速させる大きなきっかけとなるに違いない。

サン・ケーブルの開発中のソーラーファームのレンダリングWorld's largest infrastructure project - Sun Cable's AAPowerLink Project</p>Sun Cable/YouTube

主力産業一覧

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  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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