A Singapore Government Agency Website A Singapore Government Agency Website How to identify keyboard_arrow_down
close

日本企業の東南アジア進出を加速させる、シンガポールのAIとイノベーション、サプライチェーン強化への取り組み

  • ニュース
  • 企業事例
  • 情報通信技術
  • General

シンガポールはイノベーションをリードするという強固な地位をさらに加速させ、技術拠点としての重要性を一層高めている。最近、OpenAIがシンガポールに新しいオフィスを開設したこともそうした事例の一つだ。また、第2の航空物流基地「エアポート・ロジスティクス・パーク(ALPS2)」の建設が進んでおり、シンガポールの航空貨物取扱能力が年間300万トンから540万トンへと大幅に増加する。このような重要なインフラの拡充によって、シンガポールは地域のビジネスニーズの高まりに対応している。

2024/10/22

10月に行われたシンガポール経済開発庁(EDB)主催による最新の説明会において、日本企業がシンガポールの戦略的な優位性を活かし、東南アジア市場でのプレゼンスを拡大する方法について新たな見解が示された。シンガポールには、すでに1,000社以上の日本企業が進出している。日本の企業は、​​​​シンガポール​​​の安定性や中立性​     ​​​     ​、優秀かつ豊富な人材、東南アジアにおける6億7,000万人の消費者に近接する好立地などを存分に活用しているのだ。 
 

不確実な時代における東南アジアの成長と展望 

国連の最新レポート(*1)によると、2023年の世界の外国直接投資(FDI)フローは、貿易摩擦や地政学的緊張の影響を受けて2%減少した。しかし、東南アジアはそのトレンドに逆らい、FDI流入は1.4%増加している。人口が6億7,000万人を超え、年間4〜5%の成長率を誇る東南アジア市場(*2)は、多くの企業にとって大きな魅力となっている。さらに、ASEAN諸国は企業誘致のためにビジネス環境や規制の改善を続けている。
 

イノベーションとAIで成長を加速 

​企業誘致の努力に加えて東南アジアの成長を後押ししているのは、地域のイノベーションやAI技術の活用である。特にシンガポールは、ビジネス環境の改善だけでなく、技術革新の分野でもリーダーシップを発揮している。

シンガポールの280億SGD(約3兆1920億円)に及ぶ公共のR&D投資と優れた実績は、資生堂や大林組など多くの企業を引き寄せている。資生堂はシンガポールを拠点にアジア市場向けの新製品開発を行っており、大林組は次世代建設技術を推進するためのアジア地域のR&D拠点を設立した。 
 

参考記事: 

さらに、シンガポールのイノベーションエコシステムは従来のR&Dを超え、国のAI戦略「National AI Strategy 2.0」によって強化されている。​​今年2月に発表されたこの戦略では、今後5年間で10億SGD(約1兆1400億円)以上が投資され、AIコンピューティング能力の強化、AI人材プールの3倍化など、業界の発展が進められる。​この戦略の一環として、​シンガポールは​主要テクノロジー企業​​​​​と提携し、企業によるAIソリューションのプロトタイプの開発や、社員をトレーニングするためのインフラや専門知識を提供している。

たとえば、シンガポール政府とGoogleによる共同イニシアチブ「AI Trailblazers」では、英製薬大手GSKが参加し、2つの社内AIツールを開発。これにより、それぞれ450人/日と5,000人/日の工数削減に成功した。同様に、ソニーリサーチとAIシンガポール(AISG)は東南アジア向けに特化した大規模言語モデル(LLM)である「SEA-LION」を通じて、東南アジア言語に特化したAIソリューションの研究に取り組んでいる。この共同プロジェクトでは、タミル語や他の東南アジア言語に対応したモデルのテストを行い、AI技術が地域の言語や文化に対応できるよう開発が進められている。

また、企業がスタートアップとの協業を通じてイノベーションを追求する動きも見られており、EDBは、企業が新規事業の立ち上げにおいてスタートアップと協力して革新的なソリューションを開発するための「Corporate Venture Launchpad 3.0」を開始、最近さらに予算を60%増加して3,200万SGD(約36億4800万円)とした。経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)、シンガポール政府が共催したイベント「日シンガポール・ファストトラック・2024」では、日本企業とスタートアップが協業し、両国でのイノベーション創出に向けた更なる協力強化を推進している。
 

参考記事:

サプライチェーンの強化と東南アジア 

COVID-19パンデミック以降、企業はサプライチェーンを再構築し、東南アジアは多様化戦略の一環として重要な地域となっている。特に「チャイナ・プラス・ワン」戦略を採用する企業が増加しており、東南アジアはサプライチェーンのリスクを軽減する拠点として選ばれている。2023年のEDBとガートナーによる調査では、アジア太平洋地域で既にサプライチェーンを展開している企業の約50%が、今後3年間で東南アジアに新たな製造能力を拡大または構築する計画であることが明らかとなった。東南アジアは製造ハブとしての魅力を増しており、シンガポールはそのゲートウェイとして重要な役割を果たしているのだ。 

たとえば、自転車部品や釣り具を製造するグローバル企業であるシマノはシンガポールを地域の意思決定拠点として活用し、高付加価値の製造と流通を行っているが、製造は近隣国で行っている。このモデルにより、シンガポールの広範な自由貿易協定(FTA)と強力な知的財産保護を本社やR&Dに活用しながら、近隣のコスト競争力のある製造拠点を併用しているのだ。また、アサヒグループホールディングスはシンガポールに調達拠点を集約し、年間1億米ドル(約150億円)以上の財務的インパクトの創出を目指している。 
 

参考記事: 

日本企業のための安定したリージョナル・ヘッドクォーター 

シンガポールは、東南アジアの成長に対応するため、日本企業が地域統括本部(RHQ)を設置する安定した拠点としての役割を担い続けている。シンガポールにはASEAN内で最も多くの日本企業のRHQがあり、長年にわたって拠点としている企業も少なくない。東南アジアの成長が続く中、シンガポールは、日本企業がこのダイナミックな市場での課題と機会を乗り越えるための信頼できるパートナーとしての役割を果たし続けているのだ。 
 

*1SGD=約114円、1米ドル=約150円(10月20日時点) 


(*1) World Investment Report 2024: https://unctad.org/publication/world-investment-report-2024

(*2) Regional Economic Outlook (International Monetary Fund): https://www.imf.org/en/Publications/REO/APAC/Issues/2024/04/30/regional-economic-outlook-for-asia-and-pacific-April-2024 

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

詳細を見る

  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

詳細を見る

  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

詳細を見る

  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

詳細を見る

  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

詳細を見る

  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

詳細を見る

  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

詳細を見る

  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

詳細を見る

  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

詳細を見る

  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

詳細を見る

  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

詳細を見る

  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

詳細を見る

  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

詳細を見る

  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

詳細を見る